人と人とが触れ合う中で何より思いやりが大切なのだと感じた映画でした。
一見見ると富豪と前科もちが一緒にいること自体違和感ですが、全く異なる境遇の二人だからこそ分かり合えることがあります。さらに、普段では知りえない世界観を異なる二人が出会うことで世界が広がることがあります。
最初このテーマを見たときに、どういう話なんだろう。
あまり楽しくない、不幸な話なのかなと思っていたのですが、そんなことはなく良い意味で期待を裏切られました。
映画中はとってもユーモアのあふれる言葉や情景、気の合う二人が描かれていてとても楽しい気持ちになりました。
映画のあらすじというものはとてもシンプルなものなのですが、そこに人間味というか人の思いやりというものが詰まっていた気がします。
富豪の主人公は、パラグライダーの事故で体の半分が動かなくなり、障害者としての生活を強いられるようになりました。
幸い彼は富豪という立場でお金はたくさんあったので、治療や介護をする人達はたくさんいました。
しかし、彼が富豪ということもあり、皆彼のことを気を使いすぎて彼にはその同情に嫌気を指しているようでした。
そこに現れたのが、前科もちのドリスという男。
彼は富豪のフィリップスとは違い、恵まれた環境にはおらず、家族の中の事情も複雑で、居場所のない人間でした。
しかし、フィリップスの介護をするようになり、最初は嫌がっていたものの次第にその思いやりの強さからフィリップスにとって欠かせない存在になりました。
富豪のフィリップスに周りのひとはとても気を使っていましたが、刑務所上がりのドリスは気を使うことなく、富豪に失礼な態度をとりまくり。
逆にこれを気に入ったフィリップスが唯一無二の存在として慕っていくストーリーとなっています。
ほかにも富豪の淡い恋物語の話もありますが、それはぜひ見て楽しんでください。
この映画の感想としては冒頭にも言ったとおり、想像と違いユーモアセンスにあふれ、心温まる物語となっていました。
人間は自分とは異質な存在に惹かれるものなのだと改めて感じる映画でした。
自分の思考の中では考えられないようなことをする人って、なんか危険な感じもするんですが、それとは裏腹に魅力的な感じもしませんか。
全く異なる価値観を持った人は、分かり合うまでに時間はかかりますが、お互いを理解しあったときに大きく世界が変わります。
こんな考え方もあったのかと。
世界中の人々の受け入れる前から拒絶するのではなく、まずは相手の話を聞く、心に寄り添うということをすれば、より良い世界になるのではないかと考えさせられた映画でした。