近年急速な経済成長を遂げているインド。
インドの経済状況もだいぶ改善され、数年後にはGDPで世界トップといわれるくらい経済力のある国です。
しかし、その裏には貧困や犯罪、宗教といった混とんとした問題がいくつも存在しています。
私たちのような先進国に生まれた恵まれた人間にはあまり知るよしのない世界だと思っていましたが、こういった事実から目を背けてはいけないと思います。
そんな過酷な状況をリアルに描写した映画が存在しています。
それが、スラムドッグミリオネアです。
スラムからミリオネアへ
この映画は、世間でも非常に評価された映画で、スラム出身の若者がクイズミリオネアに出演し、全問正解してミリオネアに成り上がるというサクセスストーリーです。
スラム出身の子が教育もなく、教養もないはずなのにクイズをこたえられるわけがない。
そう疑いをかけられ拷問されますが、実際彼は不正をして答えを知っていたわけでもなく、スラム時代のつらい経験から実体験を通じて得た知識で答えています。
その知識を得てきた過程がなんとも残酷でリアリティーがあり、目を背けることができないリアルな世界が描かれています。
少年のスラム街での経験
その一部を紹介したいと思います。
一番衝撃を受けた主人公がスラム時代のつらい経験を紹介していきます。
スラムの中で、親もおらず兄弟二人で生活していたのですが、そんなところに彼を救ってくれるある男が現れます。
貧困で飢えている兄弟二人に飲み物を与え、さらにそういった環境にいた子供たちが多くいる孤児院にまで連れて行ってくれました。
そんな慈悲深い男に感動していた主人公兄弟ですが、その裏には深い闇が存在していました。
その男は孤児院で慈善活動をしていたわけではなく、その全く逆で親のいない貧困で苦しむ子供たちを利用し、お金儲けをしていたのです。
それも道徳とはかけ離れた方法で。
そのやり方があまりにも壮絶で目をそむけたくなる内容でした。
私たちのように恵まれた環境で育ってきた人間からしたらある程度の道徳は学んでいるはずです。
弱者にはより優しく、救いの手を差し伸べるようにと。
この心理を利用し、この男は子供に障害を負わせ、物乞いしやすいようにしたのです。
映画のワンシーンでは子供の目を焼き失明させるというなんとも言えないシーンがあります。
これは、子供たちには歌手として成功させるためだといっておりますが、実際のところ盲目の歌手のほうが、歌のうまい歌手よりもお金になるからです。
インドの現状を知って
このシーンを知って衝撃を受けたことは間違いありません。
インドでは、闇の組織に孤児院で暮らすようなどこにも行き場のない子供たちを物乞いの道具として利用している実情があります。
上記の記事での紹介されているように、直接的な表現ではありますが、これが真実で向き合うべき現実なのだとこの映画を通じて痛感させられました。
ハッピーエンド
ここまでインドのスラム街の厳しい現状を紹介してきましたが、映画としてはそんな中でも子供たちが幸せを感じることのできるワンシーンであったり、どんなに引き離されようともあきらめず追い求める真実の愛であったり、闇に落ちていく兄ではあったけれども最後は唯一無二の弟に幸せを与えるシーンがあったりと本当に内容の詰まった映画となっています。
一つの映画でこれだけの感情が動かされるのかと感心させられた映画でもあり、この2時間から得られる人生の教訓は計り知れないものだと私は思っています。
世界は間違いなく良くなっている
この映画で出てくる主人公は極端な貧困層となっています。
こういった状況を知るとこの世の中はまだまだよくなっておらず、これからも変わることがないのかと絶望しそうになります。
しかし、そんなことは決してなく、明らかに貧困層を抜け出し、一定の生活水準で暮らせる人は増えてきています。
詳しくは、下記の本の中に詳細が書かれています。(大ヒット中)
だから、絶望するのではなく私たちに何ができるのか。
一人の力は小さいかもしれませんが、その小さな行動が勇気がいつしか世界を変えるかもしれません。
FACTFULNESS(ファクトフルネス)10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣
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お金がすべてではないというけれども…。
私たちのように確立した社会制度の中で守られている状況であれば、お金の重要度は低いと思います。
ですが、それはある一定の経済状況を担保できているからこそ、言える言葉であって、明日命をつなぐことができるかわからない経験をしているものからすれば、それは甘い考えなのかもしれません。
生が危ぶまれると他人から奪っても、なんとも思わなくなる可能性もありますし、
その連鎖がまた次世代へと悪の影響を与えていく危険性もあります。
この負の連鎖をどこかで食い止める必要があります。
一長一短でできることではありませんが、ここ10年で社会は間違いなく進歩しています。
いつになるのかわかりませんが、いつかひとが人としての権利を十分に全うし、互いに与え合う社会になることを願っています。