北風小僧の本で得た得する知識

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そしてバトンは渡された 感想【誰かから役割を求めている】

本日レビューしていく作品はこちら。

 

そしてバトンは渡されたという作品です。

 

あらすじはこちら。

第16回本屋大賞を受賞した瀬尾まいこの同名ベストセラー小説を、永野芽郁田中圭石原さとみの共演で映画化。血のつながらない親の間をリレーされ、これまで4回も名字が変わった優子。現在は料理上手な義理の父・森宮さんと2人で暮らす彼女は、将来のことや友だちのことなど様々な悩みを抱えながら、卒業式にピアノで演奏する「旅立ちの日に」を猛特訓する日々を送っていた。一方、夫を何度も変えながら自由奔放に生きる梨花は、泣き虫な娘みぃたんに精いっぱいの愛情を注いでいたが、ある日突然、娘を残して姿を消してしまう。主人公・優子を永野、血のつながらない父・森宮さんを田中、魔性の女・梨花を石原がそれぞれ演じる。監督は「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」の前田哲。

いきなりネタバレなので、読んだ人みた人向けになります。

まず最後に梨花さんのすばらしさがあふれ出てきて、涙が止まりませんでした。

血がつながらなくとも、自分の子供同然、いやそれ以上に愛情を注ぎ続けた姿。

何よりも娘のみいたんのことを最優先に考え、我が子のためであれば、自分のことを顧みず、パン屋に頭を下げて、パンの耳を集めたり、お金もちの知り合いに結婚を申し込んで、みいたんがずっとやりたがっていたピアノができる環境を提供したり、本当に自分の人生すべてをかけて娘のしあわせを祈っていたことに強く強く心打たれました。

 

この作品の素晴らしいところは、最初は梨花さんがただ単に自分勝手でわがままな困った人だということを巧妙に演出していることです。

 

もと父親の赴任先に絶対についていかないとかたくなに拒否したり、ブランド志向を見せつけたり、個人的にすごく苦手なタイプな女性として見ていました。

 

ただみいたんに対してはすごくよくしていたので、そこは少し違和感がありました。

こういう着飾った人でも他人の子供のことを真剣に考えているんだなあとその程度に。

 

最後梨花さんの隠していたことが分かったときにすべてがつながるあの感じ。

とても好きでした。

 

やっぱりどこまで行っても母親なんだと。

 

梨花さんの3人の旦那さんにも、すごく心を温かくしてもらいました。

最初の本当のお父さんは、遠くのブラジルに行っても、忘れることなく手紙を送り続け、みいたんの幸せを心の奥底からいのってました。

結果的にそれはみいたんのもとに届くことはありませんでしたが、みいたんに対しての思いは何年たっても何十年たっても色あせることなく、残り続けていました。

そのひたむきな愛に、親っていつまでたっても子供のことを愛せ続けるものなんだなと心の希望を感じました。

 

2人目のお金持ちなお父さんは梨花さんの目的がただ子供を幸せにするという、半分結婚詐欺みたいな話だと分かっていて、敢えてそれを受け入れるくらい懐の広い人です。

最初は何だこの胡散臭いエロ親父はくらいにしか見ていませんでしたが、梨花さんへの無償の愛、そしてみいたんに対しても同じくらいの愛を注ぎ、守り抜きました。

そこに関しては、損得勘定は一切なくただただ与えることの尊さ、子供を守るという人間としての本能のようなものを感じました。

 

最後に3人目の森宮さんはどのお父さんも素敵だったけど、その中でもマジでいい人。

みんないい人なんですけど、最後までみいたんを守り続け、そして愛を注ぎ続けた。

他人から見たら、全くあかの他人なはずなのになぜここまでできるのかと不思議がられたに違いありません。

森宮さんの姿には本当の父親以上の責任感を感じましたし、子供を育てることの大変さ、尊さも同じように感じました。

 

この3人の父親はすべてが完璧な父親で、それぞれが自分の役割を全うしていました。

この作品の伝えたいところでいうと血がつながらなくとも、親子として成立し、本当の親子以上の関係になれることだと個人的に感じています。

 

多くの人もこの作品を通じて、本当に大事なのは血のつながった親子の事実なんかよりも、いかに子供に愛を注ぎ同じ時間を共有できたか。

自分の時間を、気持ちを子供に向けられたかなんじゃないかと思います。

 

もう一つ私個人的に感じたのが、みんな自分の役割を欲しがっているということです。

人間はどんなに辛くてもいきていかなければ、いけません。

この世に命を授かった限り。

そんな中でなぜいきるのか。

自分が生きる意味とは何なのか考える時間が必ずあると思います。

 

そしてこの父親たちはみいたんという大切な子供を育て上げるという新たな使命を与えられたのです。

 

話が少し変わるのですが、あのくずで有名なクロちゃんがこんなことを言ってました。

「自分は親からお金をもらうことは悪いことじゃない。親が子供にお金を与えることで、自己肯定感を満たせるのだから。」

 

これは少し極端な例かもしれませんが、親としても子供になにかをしてあげることが、自分の生きる意味の一つになるのかもしれません。

クロちゃんほど極端な例になると、お互いに依存しすぎて、よくないとはおもいますが、誰かのために頑張れることを尊いことだと思います。

 

私もこの人のためだったら、自分の人生を犠牲にしてでも何かができるというものを見つけ、努力していきたいです。