今回私が見た映画作品はイミテーション・ゲーム
これは天才数学者がナチスの高度な暗号を解読していくストーリーです。
これだけ聞くと、サスペンス映画?と思う方も多いと思いますが、この映画には非常に多くの社会問題が提起されており、複雑な構造となっています。
主人公の天才数学者は何といっても癖が強い。
私個人の観点から言わせていただくと絶対に友人にしたくないタイプですね。
とにかく異質で頭は天才的に良いのですが、他者の気持ちを考えられず、他人から嫌われる典型的なタイプでした。
そんな彼でしたが、ある信頼できる女性に会い、お互いに理解しあうことができるようになり、徐々に周囲の人間関係も改善するようになっていきました。
暗号解読は非常に難解で人力で解読していたら、2000万年ほどかかるという計算となっています。
そんな状況で頼れるのは、主人公が開発したマシンだけ。
多くのプレッシャーをかけられながら、何とか暗号解読までこぎつけました。
しかし、ここで暗号が解読したことを相手にばれては、また暗号を変えられてしまいます。
ですので、気づかないふりをしながら、相手の攻撃も受けつつ戦争を有利に戦っていったのでした。
そのあたりにもだましあいの人間の心理があると思いますね。
だまされているように演じ、実は相手の動きを全部把握しているんですからね。
ちなみに解読チームの中にもソ連のスパイが紛れ込んでいましたが、わざとうその情報を流すこともできるので、敢えて泳がしたりもしているんです。
本当に騙しあいの戦争だったんですね。。。
さっきの話に戻りますが、攻撃は予測するのに、それは極秘にし、水面下で生かす人間と相手の攻撃を受けるものを選択していたのです。
映画でも語られていますが、命の取捨選択できるからと言って神になったわけではありません。
むしろその反対です。
地獄の始まりだったのです。
想像してみてください。
毎日、生かすものと見捨てるものを決めるつらさを。
しかもそれを誰も知らない。
誰からも理解されない。
なかなか苦しい状況ですよね。
孤独に一人でも多くの命を救うために戦っていますが、理解されないことのほうが多い印象に自然となってしまいますからね。
また、彼は同性愛者という秘密も同時に隠していました。
当時のイギリスは同性愛者は刑罰に処されていました。
だから、誰にも言えずに自分を隠しぬいてきたのです。
秘密を隠すのは非常にストレスがかかると思います。
うそをついている自分はどこか後ろめたい気持ちがあるし、できる限りうそのない人生を歩んだほうが幸福度も高まるはずです。
最近では、ホリエモンがよく本音で生きろということを言われていますが、自分主導に考え、自分のしたいことを全力で表現することの重要性も見直されてきています。
ですが、この作品の主人公の状況下は全く違います。
自分を素直な形で表現できない。
しかも法律によってさばかれてしまう。
そんな社会は絶対にあってはならないと思います。
異質な人を排除してマジョリティだけでコミュニティを作ることは間違っていますし、そこから新たな発見を見出すことは多くないと思います。
違う環境、違う文化、違う考え方。
異質なものに過剰に反応するのではなく、それを素直に受け入れる度量も必要です。
特に日本という国は土地柄もあり、島国なので他国文化の許容度が狭いような気がします。
確かに日本の文化として、守るべきものも少なからずありますが、守るだけでは成長はできません。
新たな考え方も必要になってくるでしょう。
この映画の主人公はその時代の風潮に全くあっておらず、理解されない社会だったので、孤独の中苦しみ、一人亡くなっていきました。
彼の偉業は、極秘機密として扱われ、その栄誉が世界に轟いたのは、50年以上も後の話です。
映画のシーンで何回か、普通では想像していなかった人が、時に人類を救うような偉業を成し遂げるというセリフがあります。
マイノリティを一周するのではなく、受け入れその人の力を最大限に引き出せる社会をこれからは目指していくべきだと感じた映画でした。